べんりワザ・AIをじょうずに使う

AIの答えを鵜呑みにしない

AIはもっともらしい間違いを自信たっぷりに答えることがあります(ハルシネーション)。間違いに気づく3つの習慣と、「写す」だけで終わらせない学習でのAIとの距離感をまとめました。

AIは、もっともらしい間違いを自信たっぷりに答えることがあります。これはハルシネーション(幻覚)と呼ばれる現象で、どんなに高性能なAIでもゼロにはなりません。でも、使わないのはもったいない。この記事では、間違いに気づくための3つの習慣と、学習でAIとうまく付き合う距離感を紹介します。

AIはなぜ間違えるのか

AIチャットは「正解を調べて」答えているのではなく、それらしい続きの言葉を組み立てて答えています。だから、知らないことを聞かれても「知りません」と言わずに、存在しないタグや関数をそれっぽく作って答えてしまうことがあるのです。

しかも困ったことに、間違えるときも口調は自信たっぷり。「たぶん」「自信ないけど」と言ってくれないので、口調から見抜くことはできません。

よくある間違い方のパターン

間違い方には型があります。型を知っておくと「あ、これかも」と気づきやすくなります。

パターンどんな間違い?
存在しないものを作るないはずのタグ・プロパティ・関数名を「あります」と紹介する
古い書き方を答える昔は定番だったけれど、今は使われない方法をすすめてくる
別のものと混ぜる別のプログラミング言語や別の道具の書き方がまぎれこむ
一般論で答えるあなたのファイル構成を知らないまま「ふつうはこう」で答える

とくに危ないのは「存在しないものを作る」パターン。書き方が完璧にそれっぽいので、動かすか調べるかしないかぎり見抜けません。

間違いに気づく3つの習慣

習慣1:動かして確かめる

プログラミングには、他の勉強にはない強力な武器があります。コードは動かせば白黒がつくということ。AIが教えてくれたコードは、信じる前にまず貼って動かしてみましょう。JavaScriptなら思いどおりに動くか、CSSなら見た目が変わるか。動けば正解、動かなければ間違い。これがいちばん速くて確実な確認方法です。

習慣2:公式リファレンスで裏を取る

「こんなタグ(プロパティ)があるんだ、初めて知った!」と思ったときこそ要注意。存在しないものをAIが作り出した可能性があります。MDNなどの公式に近いリファレンスで検索して、本当に存在するか・今も使われている書き方かを確かめましょう。

べんりワザWeb制作の情報収集におすすめのサイト集MDNをはじめ、困ったとき裏取りに使える定番の情報サイトはこちら

習慣3:分からないコードは、そのまま使わない

AIが出したコードに意味の分からない行があったら、貼る前に「この行は何をしてるの?」と聞き返しましょう。分からないまま貼ったコードは、動いても直せないし、壊れても気づけません。「説明してもらってから使う」を徹底するだけで、コードは全部あなたの財産になります。

べんりワザAIへの質問のしかた答えの質が上がる聞き方のコツは、こちらにまとめてあります

初心者がひっかかりやすい実例

「もっともらしい間違い」は、言葉で説明されてもピンときにくいものです。Web制作の学習でよく見かける形を3つ挙げます。

  • 存在しないCSSプロパティ——たとえば「文字を縦書きにするプロパティ」を聞いたときに、実在する writing-mode ではなく、それっぽい別名を答えてくる。ブラウザは知らないプロパティをエラーも出さず黙って無視するので、「書いたのに何も起きない」という形で表面化します
  • もう古い書き方——jQueryを前提にしたコードや、float で横並びを作る方法など、昔の定番がそのまま出てくる。動いてしまうぶん間違いに気づきにくく、遠回りの書き方が身についてしまいます
  • 関数名の取りちがえ——WordPressの the_title()get_the_title() のように、似た名前で挙動が違うものを入れ替えて答える。片方は画面に出力し、もう片方は値を返すだけなので、「何も表示されない」という結果になります

共通しているのは、エラーが出ずに「何も起きない」形で失敗するという点です。エラーで止まってくれる間違いより、静かに無視される間違いのほうが厄介だと覚えておいてください。

裏取りが要る答え・要らない答え

毎回すべてを疑っていたら手が止まります。確かめる価値の高いところに労力を寄せるのがコツです。

AIの答え確かめる必要
基本タグ・基本プロパティの意味低い(まず正確)
短いコード例動かせば分かる
初めて見る名前のタグ・関数高い(存在するか公式で確認)
バージョン・料金・日付・数値高い(古い情報が混ざりやすい)
「これは非推奨です」という指摘高い(逆のことを言う場合がある)
好み・方針の相談正解がないので裏取り不要

AIに貼ってはいけないもの

質問の質を上げるにはコードをそのまま見せるのがいちばん効きますが、貼る前に消しておくものが2種類あります。

  • パスワードやAPIキー、サーバーの接続情報——設定ファイルを丸ごと貼るときにまぎれこみやすい代表です。XXXX などに置きかえてから貼ります
  • 自分や他人の個人情報——メールアドレス、電話番号、住所。練習用のダミーに書きかえれば、質問の意味はまったく変わりません

サービスによっては、送った内容が学習に使われる設定になっていることもあります。「人に見せても平気な状態にしてから貼る」を習慣にしておけば、設定を1つ1つ調べなくても安全側に立てます。

「写す」より「分かる」——学習での距離感

AIはコードを丸ごと書いてくれます。それを写せば、作品は一瞬で完成する。でも、それだとあなたの力は1ミリも増えません。学習中のおすすめの距離感はこうです。

  • まず自分で書く … 5分でも10分でも、自分の頭で考えてから聞く
  • AIは「解説係」と「答え合わせ係」 … 書いてもらうのではなく、自分の書いたものを見てもらう
  • 書いてもらったら、説明してもらう … 丸写しで終わらせず、1行ずつ意味を聞く

ずるをしても、困るのは未来の自分。逆にこの距離感を守れば、AIはマンツーマンの家庭教師になります。

まとめ

  1. AIはもっともらしい間違いを自信たっぷりに答えることがある(ハルシネーション)
  2. コードは動かして確かめる。動けば正解、動かなければ間違い
  3. 初めて見るタグや関数は公式リファレンスで裏を取る
  4. 分からないコードは使わない。説明してもらってから使う
  5. 書いてもらうより、自分の書いたものを見てもらう方が伸びる
  6. 間違いはエラーではなく「何も起きない」形で出ることが多い
  7. パスワード・APIキー・個人情報は消してから貼る

疑い方を身につけた人にとって、AIは間違いなく史上最高の学習環境です。

よくある質問

ハルシネーションとはなんですか?
AIが事実ではないことを、もっともらしく自信たっぷりに答えてしまう現象です。存在しないタグや関数を「あります」と紹介してくることもあります。
AIが間違えるなら、使わない方がいいですか?
使わないのはもったいないです。間違いがあると知った上で「動かして確かめる」「公式リファレンスで裏を取る」習慣とセットで使えば、AIは最高の学習相手になります。
AIの言うとおりに書いたのに動きません。なぜですか?
AIの答えが古い書き方だったり、あなたのコードの全体像を知らずに答えていたりするのが典型です。エラー文と実際のコードをそのまま見せて、続けて質問すると解決に近づきます。